「カンボジア」という国について、あまりなじみがないという方でも「アンコール・ワット」という名前をいちどは聞いたことがあると思います。
有名なアンコール・ワットは、カンボジアにある世界遺産です。
カンボジアには他にも有名な遺跡が多数あり、今回ご紹介する「アンコール・ワット」「アンコール・トム」「タ・プローム」は三大遺跡と呼ばれています。
今回の記事では、絶対必見の三大遺跡観光についてご案内していきます。
【注意!】三大遺跡があるのはシェムリアップ
カンボジアの首都はプノンペンですが、アンコールワットをはじめとする有名な遺跡があるのは首都プノンペンではありません。
カンボジア三大遺跡は、プノンペンから北西へ約300キロの所にある「シェムリアップ」という街にあります。
三大遺跡の最寄り空港は「シェムリアップ国際空港」となります。
首都にも「プノンペン国際空港」がありますので、チケットを予約する際は間違えないよう注意しましょう。
はじめに三大遺跡観光の準備から
三大遺跡観光の前に、しっかりと準備をしておきましょう。
押さえておくべきポイントをご紹介します。
- まずはチケットを入手!
- 三大遺跡へのアクセス方法はどうするの?
- 三大遺跡はまとめて観光するのがお得です
まずはチケットを入手!
有名な観光スポットというと、入り口でチケットを購入して入場するようなイメージがありますが、いきなり遺跡に行っても入場することはできません。
三大遺跡をはじめとする「アンコール遺跡群」に入場するには、専用のチケット「アンコール・パス」が必要だからです。
「アンコール・パス」はアンコール・エンタープライズという政府系組織が管理しているチケット販売所でしか購入できません。
また、本人の顔写真の撮影が必要となるため、代理で購入してもらうことはできないようになっています。
ツアーに参加している、もしくはドライバーをチャーターしている場合は、まず最初にチケット販売所に向かってくれますので、正確な場所がわからなくても心配はいりません。
- 三大遺跡は「アンコール遺跡群」に含まれます。
- 「アンコール・パス」があれば、三大遺跡以外にも数多くの「アンコール遺跡群」に入場することができます。
- チケットの種類は、1日券・3日券・7日券の三種類がありますので、スケジュールに合わせて購入してください。
- 入場できる遺跡・チケット購入方法については、こちら(それは、世界遺産がきっかけだった。)が参考になります。
遺跡に向かう途中や入り口にはチェックポイントがあり、係員に「アンコール・パス」を提示する必要があります。
もし、チケットを持たずに不正に入場すると高額な罰金が課せられますので、必ず「アンコール・パス」を購入してから三大遺跡へと向かうようにして下さい。
【アンコール遺跡群チケット販売所】 営業時間 5:00〜17:30
チケットの種類 | 価格 | 有効期限 |
1日券 | 37ドル | 当日のみ |
3日券 | 62ドル | 購入日より10日以内・任意の3日間 |
7日券 | 72ドル | 購入日より1ヶ月以内・任意の7日間 |
三大遺跡へのアクセス方法はどうするの?
遺跡を観光するにあたって、気になるのがアクセス方法ですが、観光ツアーに参加するか、車・トゥクトゥク(三輪タクシー)をチャーターするのが一般的です。
シェムリアップには、遺跡へ向かう電車やバスなどの公共交通機関は残念ながら整っていないためです。
観光ツアーに参加するか、それとも個人で車などをチャーターするか、どちらが良いかは予算と好み次第ということになります。
遺跡観光は非常に暑く、一カ所見学するだけでもかなり体力を消耗するため、個人的にはエアコン付きの車をチャーターすることをオススメします。
それぞれのメリット・デメリットをまとめておきますので、比較してみて下さい。
【遺跡へのアクセス方法の例】
メリット | デメリット | |
個人ツアー
【値段:X 快適性:◎】 |
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団体ツアー
【値段:○ 快適性:△】 |
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自動車
【値段:○ 快適性:○】 |
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トゥクトゥク
【値段:◎ 快適性:X】
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三大遺跡はまとめて観光するのがお得です
三大遺跡を観光する際は、半日〜丸一日かけ三ヶ所の遺跡を組み合わせて見学するのが定番コースのひとつとなっています。
これら三つの遺跡は、それぞれ近い場所にかたまっているため、同じ日にまとめて見学したほうが、時間やツアー・チャーター費用の節約になるからです。
例えば、ベルトラやパンダバスなどの現地オプショナルツアー会社では、これら三つの遺跡をめぐるプランが用意されていますので、ツアー費用の参考にしてみてください。
プランの中には、半日で見学するものもありますが、ややあわただしい見学となるかもしれません。
特にアンコール・ワットは見所がたくさんありますので、午前にアンコール・トムとタ・プローム、午後からアンコール・ワットのように余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめいたします。
いよいよ三大遺跡観光へ
準備が整いましたら、いよいよ三大遺跡の観光のスタートです。
それでは順番にご紹介していきます。
- アンコール・ワット
- アンコール・トム
- タ・プローム
アンコール・ワット
「アンコール・ワット」は、12世紀末に「スーリヤヴァルマン2世」によって、30年以上もの歳月をかけて建造されたヒンドゥー教の寺院で、アジア最大の石造建築です。
アンコール・ワットは三つの回廊からできており、外側から第一回廊・第二回廊・第三回廊という構造になっています。
見所はなんといっても、第一回廊の見事なレリーフと、アンコール・ワットの聖域である第三回廊です。
【アンコール・ワット見取図】
第一回廊の美しいレリーフは必見!
第一回廊の壁面には、一面びっしりと美しいレリーフが彫られており、アンコール・ワット最大の見所となっています。
特に有名なのが、東面にあるヒンドゥー教の天地創造神話「乳海攪拌(にゅうかいかくはん)」のレリーフで、中央が「ヴィシュヌ神」です。
南面には、アンコール・ワットを建造した「スーリヤヴァルマン2世」など、第一回廊には他にもたくさんの精密なレリーフがあり、それぞれ物語の一場面が描かれています。
ただなんとなく流し見するだけではもったいないですので、現地ガイドの解説やガイドブックを参考にして、背景にある物語もぜひ一緒に楽しんでください。
聖なる領域・第三回廊
第三回廊は、かつて王様しか立ち入ることが許されなかった、アンコール・ワットで最も聖なる場所です。
現在は第三回廊を見学することが可能ですが、神聖な場所であることは今でも変わらず、また危険で急な階段をのぼりおりしなければなりませんので、入場にはいろいろな制限があります。
- 入場時間 7:30〜17:00
- いちどに登れるのは100人まで(混雑時は順番待ちあり)
- 帽子は禁止、キャミソール・タンクトップ・ショートパンツなど肌の露出が多い服装は禁止(階段入口でチェックあり)
- 11歳以下・妊婦・心臓疾患のある方は入場不可
- 月に4回ほどの仏教の日は入場不可
私が第三回廊を見学した時はすぐに入場できましたが、非常に混雑していることもあり、その場合には日陰の全くないところで長時間待つことになります。
「せっかく来たのだから、どうしても第三回廊を見学したい!」という気持ちにもなるかと思いますが、厳しい暑さの中で無理をして体調を崩しては元も子もありません。
混雑時は先に別の場所を見学したり、休憩を取るなどしてタイミングをずらすなどしてみましょう。
美しい朝日も有名です
アンコール・ワットは美しい朝日が見られることでも有名で、日の出の時間は多くの観光客で賑わいます。
朝日鑑賞の際には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
- 早朝5時前後にホテル出発となりますので、寝坊に注意!
- アンコール・チケットがないと入場できません。持っていない場合は当日の朝、チケット販売所で購入してからの見学となります。
- 駐車場からアンコール・ワットまでの道中は街灯などはなく、真っ暗で危険です。必ず懐中電灯などを持って行きましょう。
- 人気の撮影スポットは、西参道にふたつある聖池。混雑するので、写真撮影する場合は場所取りが必須です。(北側は工事中)
たとえ乾季(10月〜3月頃)であっても、晴れるかどうかは運次第です。
どうしても美しい朝日が見たい方は、3日券・7日券のアンコール・チケットを購入し、曇って見られなかった場合、別の日に再挑戦できるようにしておくとよいでしょう。
アンコール・ワットは敷地も広く写真スポットも満載ですので、ぜひ時間をかけてじっくり見学してほしいですね。
入場時間 | 5:00〜17:30 |
見学所要時間 | 1時間〜2時間 |
入場料 | アンコール・チケット |
アンコール・トム
「アンコール・トム」は「大きな都」という意味で、特定の寺院の名称ではありません。
12世紀末に「ジャヤヴァルマン7世」によって造られた都市で、一辺約3kmの城壁の中に寺院や遺跡が点在しています。
アンコール・トムは広大で、すみずみまで見学するのは大変ですので、代表的な観光スポットである5つをご紹介します。
【定番の見学ルート】
- アンコール・トム南大門
- バイヨン
- バプーオン
- 象のテラス
- ライ王のテラス
【アンコール・トム見取図】
アンコール・トム南大門
アンコール・トムの南側入り口にある高さ約23メートルの南大門には、人面仏や象などの美しい彫刻がほどこされています。
ここはたいへん人気のある写真スポットですので、ツアーなどではいったんここで車をおりて見学することが多いです。
すぐ近くには小さな売店がありますので、飲み物を買っておくと良いでしょう。
バイヨン
アンコール・トム最大の見所であるバイヨンは、城壁のちょうど中心にある寺院遺跡です。
たくさんの塔に彫られた100以上もある巨大な人面仏が有名で、そのおだやかな表情から「クメールの微笑み」と呼ばれています。
バイヨンは南大門からかなり距離があるため、車での移動となるでしょう。
急な階段をのぼると、最も高い中央塔を囲む第三回廊へ行くことができ、人面仏をすぐ間近に見ることができます。
第三回廊は絶好の写真スポットなのですが、大変残念ながら2020年1月から修復工事が始まり、階段より先は立入禁止となっています。(修復工事は5年の予定)
やや遠くなりますが、人面仏を見ることはできますので、ぜひご覧になってください。
バイヨンの見所は人面仏だけではありません。
いちばん外側の第一回廊には、アンコール・ワットと同様に精密なレリーフが彫られています。
バイヨンのレリーフは、戦争をする軍隊の様子・人々の食事や狩りなどの日常生活・いろいろな動物が描かれ、思わず見入ってしまいます。
スッポンにお尻を噛まれる人や闘鶏をする人など、おもしろい彫刻もありますので探してみてください。
バプーオン
バプーオンはバイヨンの北側にあるピラミッド式の寺院遺跡です。
本殿最上段からの景色は見晴らしも良く、アンコール・ワット第三回廊と同等の高さからの眺めが楽しめます。
また、寺院の入り口まで続く約200mの「空中参道」も特徴的です。
参道は高さ2mの円柱でささえられており、下をくぐることもできます。(ただし頭上注意!)
参道の真下は、ユニークな写真がとれるカンボジア人ガイドおすすめのスポットとなっていますので、ぜひお試しください。
象のテラス
約300mもの長さのあるテラスで、象のレリーフがあちこちに施されていることから「象のテラス」と呼ばれており、王族がテラスの前に兵を集め、出兵の儀式などを行った場所と推測されています。
テラスの上を歩くこともできますが特に何もありません。
テラスの下に降りて、となりにある「ライ王のテラス」までレリーフを見学しながら歩くと良いでしょう。
ライ王のテラス
ライ王のテラスは、三島由紀夫の戯曲「癩王(らいおう)のテラス」のモチーフとなっていることでよく知られている遺跡です。
テラスの上部にはライ王像(レプリカ)があり、壁面にはびっしりと細かい彫刻が施されていますので、三島由紀夫ファンならずとも一見の価値ありです。
アンコール・トムの観光は、日陰のない所を歩くことが多くなります。
暑さが苦手な方や体力に不安のある方は、「バイヨン」だけ重点的に見学し、他の遺跡はさっと流し見するだけでも充分満足できますので、無理をしない程度に楽しみましょう。
入場時間 | 7:30〜17:30 |
見学所要時間 | 1時間〜2時間 |
入場料 | アンコール・チケット |
タ・プローム
「タ・プローム」は12世紀末に「ジャヤヴァルマン7世」が母親の菩提寺として建造した仏教寺院遺跡です。
見所は、遺跡のいたるところにからみついた「ガジュマル」という木で、根っ子と一体化する遺跡の姿が神秘的で人気となっています。
また、映画『トゥームレイダー』『トゥー・ブラザーズ』のロケ地として使われたことでも有名です。
見学コースは木道などで整備されていますが、付近にはガジュマルの侵食により崩壊している場所も多数あります。
記念撮影などのために、遺跡が崩壊している場所に立ち入るのは大変危険です。
大きなケガにつながる可能性もありますので、絶対にやめましょう。
遺跡の崩壊は、年々深刻化しています。
ガジュマルに飲み込まれていくかのような、遺跡の雰囲気を味わってみてください。
入場時間 | 7:30〜17:30 |
見学所要時間 | 1時間 |
入場料 | アンコール・チケット |
まとめ
今回は、カンボジア三大遺跡観光のご案内をいたしましたが、シェムリアップには他にもたくさんの遺跡や観光スポットがあります。
シェムリアップは発展はしているものの、どことなくのんびりした空気を感じる居心地の良い街です。
素晴らしい遺跡を見て、疲れたらマッサージでのんびり、食事も美味しく夜はナイトマーケット巡りも楽しいです。
きっと気に入っていただけると思いますので、ぜひいちど訪れてみてはいかがでしょうか。